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徳江 千代子氏 徳江 千代子氏(東京農業大学教授・東京農業大学食品加工技術センター長)
「賞味期限と消費期限〜食品表示の正しい知識」

東京農業大学応用生物科学部栄養科学科・食品機能開発学研究室教授。専門分野は食品加工学、食品学。「食品の保蔵・加工における多様な食品機能」を主なテーマに研究を続けるとともに、野菜や果物の成分、栄養、保存方法などについても研究分野を広げている。
代表的な著書に『賞味期限がわかる本』(宝島社)、『野菜と果物を「安心」して食べる知恵』(二見書房)など。最近では、テレビ番組「世界一受けたい授業」「はなまるマーケット」など、各種メディアで食品に関するコメンテーターとしても活躍中。

「賞味期限」と「消費期限」の違いとは?

講演風景写真

 どうして賞味期限と消費期限ができたのか。以前は必ず製造年月日が表示されていました。それが輸入品など、外国のものが日本に送られてきて店頭に並ぶようになり、国際協調で1995年4月から期限表示になったことが始まりです。消費期限は、製造から概ね5日以内で品質が劣化しやすい食品に表示します。弁当や惣菜、パンなど、期限を超えてはいけないものです。
 一方、賞味期限というのは品質が保持されて、ここまではおいしく食べられるという期間なので、これ以上食べられないということではありません。期限をどう決めるかというと、「この食品は30日まで大丈夫だ」としたら、これに危なくない安全係数を掛けます。ガイドラインの安全係数は0.7ですので21日間までを賞味期限にしているというのが一般的です。賞味期限が切れたとしても、すぐには捨てなくてもいい、最低3割はそこよりはまだ大丈夫な日が残っていると思われてもいいかと思いますが、賞味期限は開封前の状態であって、開いてしまったら全く変わります。あくまでこれは目安ですので、あとは本人の五感で、目で見て、においをかいで、食べてみてということを駆使してやっていただくというのが大事かと思います。

卵は尖った方を下にして、冷蔵庫の奥に入れる

 卵は、栄養分が豊富なために菌が繁殖しやすく、また殻にサルモネラ菌が存在しやすいと言われています。さらに、卵は呼吸をしていて、殻から菌が入ったりすることもあります。洗うと呼吸が止まって菌が入りやすくなります。保存のコツは、気室が白身と黄身を守ってくれるので、尖った方を下にすること。冷蔵庫のドアポケットに入れると思いますが、温度変化、振動が大きい場所なので、パックに入れたまま丸い方を上にして冷蔵庫の奥に入れた方がいいと思います。
 また、小鉢の中に入れてはダメです。もし殻に菌がついていると、小鉢についた菌と卵を割って一緒に食べてしまうことになります。それから、鮮度の見分け方ですが、割った時、盛り上がりがある、黄身がプリッとしていて、白身もだらっとしていない。こういうものは新しいです。食べる直前に割る。茹でると白身の中に入っている殺菌作用のある酵素・リゾチウムが働かなくなりますので、タマゴ料理は早く食べた方がいいということです。

牛乳パックを開ける時、注ぎ口に手を触れない

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 牛乳パックの上手な開け方は、注ぎ口に手をふれず、指や爪を引っかけないで、逆の方から押して開ける。また、口をつけて飲むと、すぐ悪くなります。また、牛乳は脂肪が分離しますので、冷凍保存はできませんが、加熱すれば大丈夫。牛乳ほど栄養分が多くてバイ菌が入りやすいものはありませんので、ペットボトルで持ち運びをしたら即、悪くなります。
 それから、「ロングライフミルク」という常温で2、3ヵ月大丈夫という牛乳があります。持ち運びをしたい場合にはこれを持っていきましょう。製造方法が違い、高温加熱殺菌をやっていまして、無菌状態の牛乳で、パックも無菌状態です。しかし、開けてしまったら、すぐに飲まないと、無菌状態のものは菌が繁殖しますので、注意が必要です。

肉は水分を拭き取って、ラップに包んで冷凍

 形態によって傷みやすさが違います。ブロック、スライス、挽き肉と手を入れれば入れるほど酸素が働きます。つまり、カットすればするほど、空気の当たる場所が多くなり、痛みやすくなります。大きいままの方が空気に触れにくいです。買ってきて、トレーに入れたままにしておくと、血がついたり、空気や水が入っていますので、長持ちしません。ペーパータオルで水分をとって、ラップに包んでポリ袋に入れ、冷凍しておくと長持ちします。
 また、冷蔵する場合でも、ペーパータオルで拭いてラップします。それから、ハム。カットしたままにしておくと悪くなる場合があります。いくつかにカットして、それをラップでぴったり包んで、冷凍します。日本酒や酢を塗ると、大きなブロックのハムも長持ちします。また、ソーセージはラップする前に酢を含ませたペーパータオルで拭いたりすると、酸の抗菌効果で長持ちします。

納豆は冷凍OK。豆腐は水を取り替える

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 納豆のパックを開けた時、白くなっているのは納豆菌がいきいきしている証拠なんですね。開けた時に茶色っぽくなっていたら、かなり時間が過ぎているということです。買って1週間くらいすると茶色っぽくなってきます。白いものは納豆菌が繁殖しているということで、ネバネバはグルタミン酸ナトリウムです。糸を引くほど味がいいというのは、グルタミン酸のおいしさがあるというわけです。アミノ酸の結晶なのか、微生物の腐敗なのかは、自分でにおいをかいで、よく見て、判断ください。
 また、納豆は冷凍しても大丈夫なので、冷凍しておけば、いつでもおいしい納豆が食べられます。それから、豆腐。パックの水が腐るので、パックの端を開けて、きれいな水を入れ換えて、ラップで蓋をすればOK。または、タッパーに入れ換えておきます。毎日水を換えれば1週間もちます。

食育とは?

 お母さま方に自分で、ご飯を作って、食べさせるというところからが、食育の始まりかなと思います。
「おいしいご飯」「おいしい味噌汁」「おいしいお魚」の味がわからないという方もいらっしゃいますので、 「五感の判断」ができるような食育をしていただければと思います。