前回のコラムでは、怒りのメカニズムや感情を鎮める具体的なテクニックについて学びました。しかし、怒りはただ抑え込めば良いというものではありません。今回は引き続き、怒りを前向きなエネルギーへと変える方法や、円滑な人間関係を築くためのコミュニケーションのポイントを解説していただきます。
暑さが厳しくなるこの時期は、疲れや睡眠不足などから、普段よりもイライラしやすくなることがあります。しかし、「怒り」は決して排除すべき感情ではありません。大切なのは、怒りに振り回されるのではなく、その感情と上手に付き合うことです。
一般的に、「怒り=悪い感情」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。では、「怒り」は本当に悪い感情なのでしょうか。もう少し考えてみましょう。人は怒ると交感神経が優位に働きます。角度を変えてみると「今、動くための準備が整った」とも解釈できます。つまり、怒ることによって「エネルギーを得た」ということになります。
青色発光ダイオード(LED)の開発者で、ノーベル物理学賞を受賞された、中村修二氏をご存じですか? 中村氏は、その研究過程において、「怒りがすべてのモチベーションだった」として、怒りが研究開発の原動力になっていたとコメントされています。 ここで伝えたいことは、「どんどん怒ってください」ということではなく、「怒りの表現の仕方を変えていこう!」ということです。「怒り」の対象への表現の仕方を間違えてしまうと、周囲に対して迷惑行為として捉えられてしまいます。
つまり、怒ることが悪いのではなく、『怒り』の表現の仕方によって善にでも悪にでもなるということです。
「怒り」の原因の一つに、「自分の想いが伝わらない」というものがあります。相手に自分の思考や行動を理解してもらえない時、皆さんはどのようにしていますか? 対人関係でイライラしないための心構えや行動を4つ紹介しましょう。
ここまでお読みいただき、「怒り」に対する見方が少し変わったのではないでしょうか。怒りは決して悪い感情ではなく、その表現の仕方によって善にも悪にもなります。そして、その「表現の仕方」には日頃の心構えが重要になってきます。
「怒り」は二次感情なので、一次感情(不安や心配事、悲しみなど)の整理整頓をすることで「怒り」へ直結するルートを減らしましょう。日頃から自分の一次感情を把握し、ネガティブな感情をできるだけ発散するように心掛けましょう。
最後に、「嫌われる勇気」で有名な心理学者、「アルフレッド・アドラー」はこう言っています。 『感情は車を動かすガソリンのようなもの。感情に支配されるのではなく利用することだ』と。
アンガーコントロールとは「怒らないこと」ではなく、「怒る必要のあることには上手に怒り、必要のないことには怒らない」という技術ということになります。皆さんも上手に怒って行動の原動力にしていただくことを祈りつつこのコラムを終えたいと思います。このコラムが、あなたの毎日を少しでも穏やかで、笑顔の多いものに変えるきっかけになれば幸いです。
\ ポイントまとめ /
情報提供:
日本統合医学協会
日本統合医学協会認定 メンタルセラピスト
丸山直樹