心地よい秋の風を感じるようになり、身体を動かしやすい季節がやってきました。前回のコラムでは、働く世代から始める「フレイル予防」の重要性についてお伝えしましたが、今回は具体的にどのような日常ケアを取り入れればよいかをご紹介します。元気に満ちた未来の土台を一緒に作っていきましょう!
暑さのピークを越えたこの時期は、体を動かす習慣を始める絶好のタイミングです。夏の間に運動不足になってしまったという方も、無理なく始められることから取り組んでみませんか。毎日の小さな積み重ねが、将来の健康につながります。
フレイルを予防するために、「何か特別な運動を始めなければ」と考える必要はありません。
大切なのは、骨や筋肉に適度な刺激を与えながら、「動く」「食べる」「口の健康を保つ」という3つの習慣を毎日の生活の中で続けることです。
まず意識したいのは、「体を動かす」ことです。
私たちの骨は、歩く、立つ、階段を上るといった日常の動作で適度な刺激を受けることで、その丈夫さを保ちやすくなります。また、筋肉は使わなければ少しずつ衰えてしまいます。だからこそ、特別なスポーツではなく、日々の生活の中で体を動かす機会を増やすことが大切です。
例えば、エレベーターではなく階段を利用する、一駅分歩いてみる、買い物の際に少し遠回りをするなど、無理なく続けられる工夫がおすすめです。さらに、椅子からゆっくり立ち座りを繰り返すスクワットや、かかとの上げ下げなどは、自宅でも簡単にでき、下半身の筋力維持に役立ちます。運動は「頑張る日」を作るよりも、「毎日少しずつ続けること」の方が大切です。
次に見直したいのが、「食事」です。
骨を丈夫にするにはカルシウムだけでなく、筋肉の材料となるたんぱく質、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、骨の形成に関わるビタミンKなど、さまざまな栄養素が必要です。
肉や魚、卵、大豆製品、牛乳・乳製品、緑黄色野菜などを組み合わせ、三食をバランスよく食べることが、骨と筋肉の健康を支えます。特に朝食を抜く習慣がある方は、一日の活動に必要なエネルギーやたんぱく質が不足しやすくなるため注意しましょう。
そして、もう一つ大切なのが「口の健康」です。
「口」と「フレイル」は、一見あまり関係がないように思えるかもしれません。しかし、歯や口の機能が低下すると、硬いものが食べにくくなったり、食事量が減ったりして栄養不足につながります。
その結果、筋肉量や体力が低下し、フレイルが進みやすくなることがあります。毎日の歯磨きに加え、定期的な歯科健診を受けることも、骨や筋肉の健康を守ることにつながるのです。
最近では、骨・筋肉・栄養・口腔機能はそれぞれ別々ではなく、お互いに深く関係し合っていることが分かってきています。どれか一つだけ頑張るのではなく、生活全体を少しずつ整えることが、フレイル予防には重要です。
健康づくりは、特別なことを始めることではありません。「今日は少し歩いてみる」「食事に一品たんぱく質のおかずを加えてみる」「歯科健診の予約を入れてみる」――そんな小さな一歩の積み重ねが、10年後、20年後の健康につながります。
\ ポイントまとめ /
情報提供: 日本統合医学協会
【参考文献】
●厚生労働省 e-ヘルスネット「フレイル」
●厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
●一般社団法人 日本老年医学会.『フレイル診療ガイド』
●内閣府 『令和6年版 高齢社会白書』
●特定非営利活動法人 日本統合医学協会『オステオフレイルピラティス教本』
●公益財団法人 骨粗鬆症財団.骨粗鬆症・骨の健康に関する情報